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飯豊町、空き家等対策で(株)クラッソーネと県内初の連携協定

2 近年、全国的に空き家が増加し、安全面や景観上などで大きな社会問題となっている。総務省「住宅・土地統計調査」によるデータでは、全国の空き家数は900万件、空き家率13.8%に達し、山形県内でも6万2千戸の空き家を数え、5年間で8千戸も増加した。
(写真右=飯豊町内にある空き家、飯豊町提供)
 飯豊町は、令和5年度調査で271件の空き家が存在し、平成31年に飯豊町空家等対策計画を策定し、空き家の利活用促進と不良空き家への対策事業を行っている。さらなる対策として、空き家所有者にいかに当事者意識を持ってもらうかが課題となっていた。
1 空き家除却を推進することで、飯豊町の安全安心なまちづくりを目指すことを目的に、2月18日、町役場において、全国2000社以上の専門工事会社と解体を希望する施主をマッチングするサービスを運営する株式会社クラッソーネ(愛知県名古屋市、川田哲平代表取締役CEO)との間で、「空き家等の除却推進に係る連携協定」を締結した。

(写真左=連携協定調印後の記念写真撮影、左:嵐飯豊町長、右:株式会社クラッソーネ執行役員の山田浩平氏)
 同社は、平成23年(2011)4月1日設立、資本金28億23百万円(資本準備金を含む)、解体工事DXプラットフォーム「クラッソーネ」を運営し、マッチングサービスの利用者は、これまで累計15万件以上の実績があり、「解体費用シュミレーター」や「すまいの終活ナビ」を利用した公民連携での空き家対策事業は、令和3年度から同5年度の国土交通省「住宅市場を活用した空き家対策モデル事業」に3年連続で採択された。同社と連携協定を結ぶ自治体数は、飯豊町を含めて35都道府県104自治体となり、今回山形県では飯豊町が初のケースとなる。
 
 連携協定を締結するに至った経緯は、飯豊町が空き家解体のノウハウやデータについて同社から意見を聞く機会があり、新しい視点や気づきを得ることができたとし、お互いの強みを生かした課題解決とともに持続可能な官民協働を目指し、連携協定になったとした。
 協定に基づく取組内容は、クラッソーネは飯豊町が推進する空き家等の除却推進への各種施策に対して、必要な知識やノウハウ、システムを提供、「解体費用シュミレーター」、「すまいの終活ナビ」、「固定資産税シュミレーター」などの各種システムを飯豊町のホームページにリンクして提供する。空き家対策セミナーへの講師派遣なども町の要請に応じて行うとしている。
 協定に基づく主な取り組みは、
①解体の概算費用や土地売却査定価格を提示する「すまいの終活ナビ」を紹介
②空き家の建物情報をもとに、管理コストや解体費用・土地売却査定価格をまとめたレポートを発行できる「空き家価値査定シート」の活用
③空き家所有者へ空き家解体の進め方に関するフライヤーを配布
④市民や空き家所有者からの相談や空き家対策施策に、株式会社クラッソーネのサービスや情報を活用
 をあげている。

3 同社が提供する「すまいの終活ナビ」は、スマートフォンから土地建物の面積や最寄りの駅、接する道の幅などの条件を入力すると、「解体費用」と解体後の「土地売却査定価格」の概算額を手軽に無料で把握できる。これにより「解体費用がどのくらいか分からない」といった情報不足の解消や、解体後の土地売却の見通しが立たないために空き家の解体に踏み切れない所有者の意思決定の後押しするものとなる。
(写真右=スマホで「すまいの終活ナビ」からシュミレーションした売却査定価格と解体概算費用などのデータ、株式会社クラッソーネ提供)

 概算費用を把握した上で、具体的な見積もりを希望する場合は、工事会社の紹介を受けることができる。
 令和5年(2024)10月25日から、「すまいの終活ナビ」に、「空き家の迷惑度診断」、「固定資産税シュミレーター」の新サービスも提供され、空き家所有者への啓発、家じまいの際の所有者の検討促進を推し進めるものとなった。

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(写真上=空き家対策DXスキーム図、株式会社クラッソーネ提供)

7 挨拶の中で嵐正人飯豊町長は、「現在、飯豊町の空き家状況は280軒ほど、人口減少とともに年々増えている。積極的に空き家バンクへの登録を促しながら、飯豊町に住みたいと考える人に格安で譲渡して活用している。老朽化が激しく倒壊等の危険があるものは、空き家全体の20%以上の60軒にのぼり、近隣への迷惑や景観上の問題もあり、所有者と連絡を取り解体も含めながら維持管理をお願いしている。その中で解体したい気持ちはあるが実際にはどれくらい費用がかかるのか、解体までのプロセスでどのように動いたらいいのか分からないという声が多い。その解決には終活ナビは非常に有効、ありがたいツール。空き家問題は自治体の集まりでも話題となっており、飯豊町の協定が県内の優良モデルとして発信されれば良い。」と挨拶した。

6 同社執行役員の山田浩平氏は、「これまで15万件の家じまいのお手伝いをさせていただいた。システム上で、どの地域で、どの会社がどういった見積もりを出したのかデータ化し、そのデータを使って「すまいの終活ナビ」で建物の状況を見て解体費用はこれくらいというシュミレーターを開発し自治体に提供している。空き家所有者の方々には、どうやって進めるのか、いくらぐらいか、誰に頼むのかという、3つの悩みがあると理解している。このあたりを飯豊町と一緒に解決できればと考えている。」と述べた。

 飯豊町のエリアを対象にした「すまいの終活ナビ」は、2月18日午後2時から利用可能となった。同社によれば、これまで15万件の利用で解体価格でのクレーム発生は1件とのこと。また「解体費用シュミレーター」はあくまで概算であり、機械による解体でなく手作業で解体するような場所では価格は変わるとした。飯豊町以外の市町村については、クラッソーネのホームページに入り、「すまいの終活ナビ」を利用できる。
 飯豊町は、空き家の解体で上限100万円の補助があり、令和6年は総額500万円の予算を組み、4件の利用実績がある。