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特定非営利活動法人米沢市芸術文化協会(佐藤富士雄会長)は、4月18日、令和5年度米沢市芸術文化協会賞、同文化功労賞、同文化奨励賞の受賞者を発表した。
「年間で最もすぐれた創造的活動を行った個人および団体に授与される賞」の「米沢市芸術文化協会賞」には、伝統工芸(染織)の山岸幸一氏氏(77歳、個人)=米沢市大字赤崩=、が受賞した。
山岸氏は、織物業の家に生まれ、家業について機械織りに従事するものの納得がいかず、自ら手織りを追及し、軽く弾力性のある風合いが生まれる技術を生涯追及し続けた。織りのみならず、糸は繭から育てて自ら糸を紡ぎ、染料は紅、藍、刈安など自然の染料を求めて栽培から摘み取り、糸染めまで全て自らの手で行ってきた。そうして生まれた織物は、工業製品ではなく芸術作品といえるものである。
また工房に研修生を受け入れて次世代の人材育成や、メディアを通じてきもの文化の普及活動にも取り組んでいる。日本工芸会正会員で、日本伝統工芸展には1996年から2015年まで20回連続入選を果たした。2000年、日本伝統工芸展奨励賞受賞(文化庁買い上げ)、その後も多数の表彰を受ける。2023年斎藤茂吉文化賞受賞、同年伝統文化ポーラ賞地域賞を受賞した。
「多年に亘る芸術文化の向上に貢献された個人および団体に授与される賞」の「米沢市芸術文化協会文化功労賞」には、絵画(洋画)、昔語りで活動を続ける丸山尚氏(85歳、個人)=米沢市下花沢3丁目=、が受賞した。
丸山氏は、1999年退職を契機に、絵画創作を始め、2000年に「米沢美術家会議」に入会し、会員展・米沢アンデパンダン展・県美展・えくぼ展(南陽市)などに出品した。2023年7月には第31回えくぼ展で奨励賞を受賞。2015~2017年までの3年間、米沢アンデパンダン展の実行委員長、2018~2022年まで5年間、米沢美術家会議の会長を勤め、「米沢アンデパンダン展」の充実・発展に寄与した。
また「米沢とんと昔の会」の会長として24年間、置賜に伝わる民話、昔話を題材に方言を交えながらのボランティア活動のリーダーとして、会の活動を支えてきた。2023年10月には「第10回おしょうしな語りのつどい」を開催し、大好評を得た。エフエムNCV「方言あがなそがなほがな」でも活躍し、2024年には「米沢方言かるた」を切り絵作家の房間きみ子氏とともに製作した。
「ユニークな文化活動や話題性、将来性豊かな文化活動を行っている個人および団体に授与される賞」の「米沢市芸術文化協会文化奨励賞」には、絵画(日本画)の石黒光氏(22歳、個人)=米沢市通町5丁目、が受賞した。
石黒氏は、東北芸術工科大学4年生であった2023年、日本交通文化協会第44期国際瀧富士美術賞優秀賞を受賞、2024年2月の東北芸術工科大学卒業修了研究作品展では「美術科賞」を受賞し、東京都美術館で行われる「東北芸術工科大学美術科選抜展」にも選ばれ作品が展示された。大学内の授業だけでなく、山形県内外の企画にも作品を発表するなど作家として積極的に活動し、2024年4月からは東北芸術工科大学芸術工科研究科修士課程に進学し、さらに専門的な研究を深め、画家としての実力をつけ活躍することを目指している。今後も画家として活躍し、将来米沢の芸術文化を担う人材に育っていくことが期待されている。
同奨励賞の団体では、工芸の夢プロジェクト「竹あかり×ゆき×祈り」=米沢市、が受賞した。
同団体は、2016年より米沢市で活動開始した市民・学生によるボランティア団体で、竹林環境保全と町おこしを融合させた竹あかりによって、「地域を照らす、地域を繋ぐ」をコンセプトに活動している。
大人から子どもまで一緒に参加できるワークショップは、学校や町内会からの依頼もあり、竹のサイズとデザインの豊富さ、またはオリジナルのデザインで、唯一無二の作品ができあがることで創作意欲が完成後の達成感となり、笑顔の輪がつながっていく芸術文化活動を行っている。過去の展示会場は、東日本大震災復興祈念事業、上杉雪灯篭まつり盆おどり、町内会夏まつり、紅花まつり、ミナミハラアートウォークなど多数。
「米沢の芸術文化およびその活動を広く世に紹介・芸術文化活動の指導者として特に貢献度の高い個人・団体に授与される賞」の「特別賞」は該当なしだった。
米沢市芸術文化協会が設ける賞は、芸術文化協会賞が昭和40年~、文化功労賞が昭和41年~、文化奨励賞が昭和63年~と、それぞれに長い歴史を有している。令和6年5月18日、ホテルモントビュー米沢において、総会と表彰式を開催する。