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第26回米沢混声合唱団演奏会、調和の取れた歌声を聴かせる

 第61回米沢市民芸術祭参加、第26回米沢混声合唱団(金子恵子代表)演奏会が、8月3日(日)午後2時から米沢市にある伝国の杜置賜文化ホールで開催された。「人生の"旅"は、憧れに になわれて」というサブタイトルが付けられている。会場はいつもながらほぼ満席に近い盛況ぶりで、同合唱団の実力や魅力を知る多くの市民がその演奏を楽しみに詰めかけた。

1 オープニングは、同合唱団員の加藤智一さんが作詞・作曲した「団歌 あなたと二人」。軽快なメロディーで、この曲を聴くと「あ〜、これからどんな演奏が行われるのだろう」と大きな期待を抱かせる。
(写真左=挨拶する金子恵子代表)
「団歌 あなたと二人」は、自分たちの持ち歌だから、歌詞もメロディーも歌い慣れているとは言え、ソプラノ、アルト、テノール、バスのバランスの取れた四声が会場いっぱいに広がっていく。今回、ステージに上がった団員は男性9名、女性14名の計23名だった。人数的には例年よりも多少こじんまりとした印象を受けたが、そのハーモニーや声量は例年の米沢混声合唱団ならでは力量を感じさせるものだった。それは団員一人ひとりの音程がきちんとしているからだろう。最初から響の良さは抜群で、安定感を感じさせた。何よりも団員たちの笑顔が良い。本当に歌を心から楽しんでいるという雰囲気が伝わってくる。

7 代表の金子恵子氏が、「皆様の前で歌える喜び、心を一つにして歌いたい。演奏会を開催できるのも、地域の支え、家族のおかげと感謝している。今回はフルートデュオのナッツ&リリーにご参加頂きました。」と挨拶した。
 演奏会では、指揮が常任指揮者の鍜治迪雄氏、ピアノが勝見純子氏と大山ふみか氏が交代で演奏した。
(写真右=フルートデュオ「ナッツ&リリー」が加わった第1ステージ)

 第1ステージは、「冬のメドレー」でスタート。演奏者も観客も夏の装いである。真夏の演奏会において、冬のメドレーを歌うとは、タイトルを聞いただけでちょっと涼しくなる気がして、選曲の面白さを感じた。
 鍜治氏のタクトがゆったりと振り下ろされて、ピアノがそれに伴いゆっくりと音を奏でていく。「おおさむこさむ・たきび・雪・冬げしき・ペチカ・雪の降るまちを」などが続く。「雪の降るまちを」は、中田喜直が昭和24年に作曲した曲で、鶴岡市で見かけた雪の情景が描かれているという。鶴岡市出身の筆者には思わず冬の鶴岡の風景が脳裏に浮かんでくる。昭和24年頃は、もっともっと雪が多かったことだろう。
 続く曲は、「ふるさと」。ピアノ伴奏なしでの合唱で、ナッツ&リリーがフルートで彩りを添えた。筆者もふるさと鶴岡市を離れて50年、この曲を聴くと両親のこと、同級生、庄内浜など、ふるさとの景色が思い出されてくる。

2 次に、フルートデュオのナッツ&リリーが「七つの子」、「上を向いて歩こう」、「アルルの女」の3曲をピアノ伴奏なしで演奏した。2人は米沢市立東部小学校時代の10歳の時にデビューし、今年20歳ということだからデビュー10年となる。身長も大きくなったものだ。高齢者施設などでの演奏が評価されて、ボランテディアアワード奨励賞を受賞した。筆者はデビュー当時の2人の演奏を聴いたことがあるが、ここ数年は聴いていなかった。今、ナッツは大学生、リリーは看護学生とそれぞれ離れて暮らしているが、2人の息はぴったりだった。ビゼーの「アルルの女」は、メロディーがとても美しく技巧的にも難しい曲だが、それを難なく演奏していた。2人の音はものすごく洗練されて、混じり気のないフルートの音を奏でている。

 第2ステージは、混声合唱のための組曲「旅」。今回の演奏会のサブタイトルを表現するステージだから、気合いが入っていることだろう。ピアノが叙情的で優しい響きを奏で始めると、それはまるでメルヘンの世界のような時間と空間を生み出すことに成功した。鍜治氏の指揮は、決して大げさな部分はなく、団員一人ひとりの個性を引き出すような柔らかさがある。しっとりとした歌詞と歌声が融合している。夏の渚の情景が目に浮かんでくる。コーダーは、「行け、旅に今こそ」と盛り上がって終了。歌い終えた団員は、会場からの拍手を背に受けながらステージの袖に引いた。

3 10分の休憩を挟み、第3ステージへ。お堅いステージ衣装を脱いで、はつらつとした平服にチェンジ。同合唱団演奏会の最大の楽しみは、この第3ステージにある。長年にわたって、代表の金子氏のカラーが現れていると言っても過言ではない。筆者は1980年代前半、市内で行われたクリスマスコンサートの実行委員会で金子氏とご一緒したことがあったが、あの頃から色々なアイデアと行動力のある方だという印象を持ってきた。曲目は、一世を風靡した名曲がずらり並ぶ。
4 松田聖子の「瑠璃色の地球」は、宇宙から地球を眺めているようなスケールの大きな歌。高音域も低音域もバランス良く団員の声がよく出ている。見事なハーモニーに圧倒された。
「いのちの歌」では、巡り会えた奇跡を大切な宝物として歌う。人生の中では、「泣きたい日もある。絶望に嘆く日もある。」という歌詞が胸を刺す。そんな時に傍にいて寄り添う人がいることの幸せ。そしてふるさとのぬくもりがとてもあたたかい。なんて素晴らしい歌詞なんだろう。
「心の瞳」では、「いつか若さをなくしても心だけは決して変わらない」。まるで古希に向かう私のことを歌っているようで、大いに励まされた。
5 中島みゆきの「地上の星」。某テレビ局番組のテーマソングとなったから、ついその番組を思いしてしまう。元気発剌となり、チャレンジ精神をいつまでも失いたくないと思ってしまう。
 団員たちは音楽に合わせて体を動かしながら元気に歌っている。最後は両手を高く上げて、第3ステージを締めくくった。合唱団に割れんばかりの拍手がおくられた。

6 アンコールは、「世界が一つになるまで」。今、ウクライナで、ガザで戦闘が行われている。人類が生まれてから争いのない日はない。戦争は有史以来、人間の愚かさ、弱さを見せつけるもので繰り返されてきた。平和が1日も早く訪れますようにという願いを込めて歌ったアンコールだったように思う。
 団員たちは、ホール入口で観客と声を交わしながら見送りし、歌い終えた感激に浸っているようだった。来年もまた楽しみにしている。(筆者/米沢日報デジタル 成澤礼夫)