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米沢市の近藤洋介市長は、8月30日、米沢市役所で緊急記者会見を開き、8月29日、JR東日本エネルギー開発株式会社(松本義弘代表取締役社長、東京都千代田区)を訪れ、同社が進める(仮称)栗子山風力発電事業計画の全面白紙撤回を申し入れたと発表した。
(写真右=記者会見を行う近藤洋介市長)
近藤市長はその理由として、5月10日に米沢市が山形県に提出した意見書や住民からの意見等を踏まえ、同社が8月4日及び5日に開催した住民説明会の説明が不十分で、十分な理解が得られたとは言い難いことや、翌8月6日には追加の説明会や準備書、会議録の公開を文書で、また米沢市への地域貢献内容の提案を口頭で求めていたが、8月26日、松本義弘代表取締役社長が米沢市役所を訪れ、提出した回答は米沢市の期待する内容とは異なり、米沢市や住民との協力関係を構築する意欲に欠けているとの印象を持たざるを得ないことを挙げた。
さらに米沢市には、この計画に対する意見、要望などが寄せられ、その多くが事業に反対あるいは懸念するもので、日増しにその声が高まっているとし、今後、環境アセスメントの手続きの中で、計画の見直しによる改善が図られたとしても、多くの住民の不安を払拭し、理解を得ることは極めて厳しいことを挙げた。
(写真左=JR東日本エネルギー開発株式会社に米沢市が申し入れ書)
8月26日、山形県知事から経済産業省に出された意見書の中でも、希少生物であるイヌワシの保全、造成地の崩壊及び土砂流出、地すべり、雪崩、低周波音、生態系など、必要な調査と対策を講じることを求めており、特にイヌワシの保全については、事業の取止めも含め、抜本的な事業計画の見直しを求めた厳しい内容で、「事業の根幹に関わる重大な懸念だ」とした。
近藤市長は、当事業の必要性や不可逆性、自然や環境、景観、精神文化との調和、地域貢献などを総合的に検討した結果、「米沢市として事業をこのまま進めるべきではない」との判断に至ったとし、「事業の白紙撤回を求めてできる限り早い判断を」と回答を求めている。
質疑の中で、近藤市長は今回の申し入れは、法律の「枠外の意思表示である」と述べ、「経済産業大臣の結論を待つ」ことになるとした。経済産業省での結論は、9月23日か24日の見通し。ただ米沢市としてもゼロカーボンシティを宣言し、2050年までに二酸化炭素排出実質ゼロを目指して太陽光発電、バイオマス発電などの取り組みを行う計画で、エネルギー開発は立地地域に大きな影響を与えるもので、市民に対する情報公開と対話がとても重要であることを強調した。
8月29日の申し入れの際には、同社社長から「米沢市がこのような申し入れをされたことは残念です」と述べたという。また同社からは地域貢献策の漠然としたイメージが示されたが、「今後検討する」というもので、「米沢市としては進展がない」と受け止めたことや、同日、近藤市長は経済産業省を訪れ、技術総括・保安審議官の湯本啓一審議官に対して、JR東日本エネルギー開発株式会社に申し入れた内容を説明したという。
8月28日午後、「米沢の子供の未来と豊かな自然を考える会」(髙橋ひろみ代表)は、近藤市長あてに4回目となる計6,800筆の白紙撤回を求める署名簿を提出した。同会は、昨年11月に市内の5人の女性で設立したもので、これまで米沢市内各地で10数回にわたり、「風力発電」学習会を開催、プレゼンテーションや署名活動、建設反対の幟旗の掲示などを行ってきた。髙橋代表のプレゼンテーション資料は、(仮称)栗子山風力発電事業の多岐にわたり、専門的で難解な事業計画の課題をあぶり出し、日に日に米沢市民に大きなうねりを引き起こし、米沢市長を白紙撤回にまで至らせた大きな原動力となったことは否定できない。