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「自動運転の現状と展望」、電動モビリティコンソーシアム講演会

1 電動モビリティ地域共創コンソーシアム(会長 飯豊町長 後藤幸平氏)が主催する講演会が7月25日、飯豊町町民総合センター「あ〜す」で行われ、30名余りが参加した。
 このコンソーシアムは、令和5年4月に飯豊町に開学した、「電気自動車」と「自動運転」を4年間で集中して学び、研究を行う世界初の大学、「電動モビリティシステム専門職大学」(清水浩学長)と地域の企業や住民と連携の場を創出し、地域の人材の育成と産学官金民による新たなモビリティ関連産業の創造を促進するために、令和5年6月9日に飯豊町、山形県、同大学で設立したもの。
 はじめに後藤幸平会長が、「昨年、コンソーシアムを設立し、本年は2年目となる。本年は東京大学名誉教授の鎌田実先生にご講演を頂くことになった。中々、直接お話をお伺いすることができない方、今後のこの事業の成功のための一つの大事な道のりになると思う」と挨拶した。 
 講師の鎌田実氏は、1987年、東京大学大学院工学系研究科船用機械工学専攻を修了、2002年、同研究科教授、2020年、一般財団法人日本自動車研究所 代表理事・所長、2021年、東京大学名誉教授に就任している。現在、経産省・国交省 自動走行ビジネス検討会座長、内閣官房 自動走行に係る官民協議会委員などを務める。

3 鎌田実氏は、「自動運転の現状と展望」と題して1時間の講演を行った。その中で、日本が抱える課題として、高齢化率が29.1%で世界一(昨年9月)、2055年に40%に達することや、GDPを維持するには生産性を上げる必要性、将来、社会保障システムや医療や介護に係る費用が膨大になるなどが確実視されているが、将来ビジョンが描かれていないことが問題だとした。
(写真左=講演を行う鎌田実氏)

 国交省の国土グランドデザイン2050では、人口ゼロの場所が増え、広がった居住域では歯抜けになることや、人口減、ドライバ不足、公共交通を整備しても自宅玄関先までは届かないケースもあるとした。
 自動運転の実現には、「インフラ協調」か「自律」があるが、インフラ整備は膨大な費用がかかる。自動運転はSAE(Society of. Automotive Engineers)に6段階の定義があり、SAEレベル1〜2は運転支援車で運転者責任。SAEレベル3は、特定の走行環境条件を満たす限定された領域で、自動運転装置が運転操作の全部を代替する。SAEレベル4・5は、運転操作の主体が自動運行装置によるため技術的難易度が高く、一般公道での混合交通下の早期実現は困難だが、専用空間や限定空間等で低速であれば比較的に実施しやすいとみられるとした。2021年3月、ホンダはSAEレベル3の車両「レジェンド」を発表している。

2 さらに自動運転の目的として、①安全②ドライバ不足③付加価値の3つをあげ、平成29年8月から官民の関係者、有識者からなる「自動走行に係る官民協議会」が開催され、①公道実証の円滑な実施②実証の成果・データの共有③制度整備等を検討事項として議論を行っている。
 平成30年4月には、2020年までに高度な自動運転(レベル3以上)の実現に必要な関連法制度を見直すための「自動運転に係る制度整備大綱」が決定、令和3年3月より、福井県永平寺町で国内初のレベル3での無人自動運転移動サービスが本格運行した。
 鎌田氏は、現状、運転者がいればレベル2は非常に容易に実証実験を公道で行え、遠隔監視・操縦ができれば、運転者がいなくても公道で実証実験を行える、お金をかければ、シンプルな環境であれば、完全自動が達成できるレベルだと述べたが、自動運行装置の保安基準適合はハードルが高く、認められたのはこれまで数例にとどまるという。
 今後は、極めて高い安全性を求めると技術的対応が困難になったり、膨大なコストがかかるようになるため、社会が受容する安全レベルを明確にする必要があること述べ、米国や中国では既にロボットタクシーが実現済みで、日本の自動車産業も国際競争を勝ち抜くようにしなければならないとした。
 自動運転に関しては、困難な社会課題が多数存在し、実証実験で終わってしまう恐れがあると述べ、地域特性に応じた課題解決のために望ましい姿をきちんと構築し、まちづくりなどと連携しながらトータルで考えていく必要があるとした。