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米沢混声合唱団(金子惠子代表)の第25回演奏会が、8月4日(日)午後2時から伝国の杜置賜文化ホールで開催された。毎年真夏の8月第一日曜日に開催され、市民におなじみの演奏会であるが、今年は500席ある会場がほぼ埋まるほどの入場者が目に見張った。同合唱団に根強いファンがいることをうかがわせるものである。
今年の演奏会は、男性10名、女性15名が出演し、常任指揮者の鍛冶迪夫氏、ピアノは勝見純子さん、大山ふみかさんの2名が担当した。
団歌「あなたと二人」(作詞・作曲 加藤智一〈団員〉)でオープニング。この曲が始まると、さあ、今年はどんな歌声を聴かせてくれるかと否応無しに期待感が高まる。
第1ステージは、混声合唱のための「野口雨情作品集」より。この曲は、2018年、第20回記念演奏会のために同団が委嘱した作品で、この時に初演されたもの。「しゃぼん玉、黄金虫〜証城寺の狸囃子 青い眼の人形、兎のダンス」が披露された。ソプラノ、アルト、テノール、バスの4声の各パートが、音量、声質、ハーモニーなどが実に良くバランスが取れていて、艶のある歌声が会場に響き渡った。黄金虫では、ピアノが明確なテンポを示して曲を進め、証城寺の狸囃子では実に若々しい演奏を見せてくれた。兎のダンスは、軽快なリズムと壮大な曲調を感じさせてくれる。
野上彰作詩、小林秀雄作曲の「落葉松」は、しばしば他の演奏会でも演奏される曲目であるが、米沢混声合唱団の出来栄えは、本当にしっとりと曲をまとめ上げ、聴かせどころをちゃんと押えた演奏だったことは実に見事であった。
第2ステージは、団員が衣装を変えて登場した。最初の曲は「秋のメドレー」。「里の秋、紅葉、村祭、虫の声、七つの子、小さい秋みつけた、赤とんぼ」など。米沢はお盆を過ぎると、朝晩は急激に気温が下がる。そのような秋の雰囲気を前取りした曲をたっぷりとしみじみと聴かせてくれた。
「混声合唱のための日本民謡メドレー ハァ ドッコイショ」では、米沢工業高校伝統文化部和太鼓が出演して、歌とのコラボを実現した。和太鼓の団員は現在、1年生から3年生まで各1人の計3名で、そこにOBも助っ人で加わった。
最後は和太鼓演奏で、「轟音、鶴城」の2曲が披露された。高校生のひたむきな、一生懸命に演奏する姿が聴衆に大きな感動を引き起こした。ステージの6名から醸し出される、体を突き抜けるような太鼓の音のリズム、素朴な中にも透き通る綺麗な音が心地よい。若さを感じさせるノリ、そして鍛えられた体で太鼓の世界を表現した。
第3ステージは、混声合唱とピアノのための「出発の歌」。同合唱団の演奏会の楽しみは、まさにこの第3ステージにあると言っても過言ではない。毎回、創意と工夫を凝らした演出がなされるが、これは代表の金子さんによるところが大きい。私服に着替えた団員たち。今回は1971年生まれのポップ・ソングを集めたもので、「翼をください、花嫁、虹と雪のバラード、戦争を知らない子供たち、出発の歌」。
60代後半から70代前半の年代の人にとっては、まさに中学生から大学生の頃に当たる時期で、青春時代そのものである。思わず手を叩いて、口ずさみたくなる。団員が曲に合わせて体を動かし手拍子をとることで、音楽上の表現力が増し気持ちも高揚していくのだろう。混声合唱の醍醐味を遺憾なく発揮し、聴いている者に生きるエネルギーを十二分に与えてくれるようだった。
団員は、オープニングからアンコールまで暗譜で歌っていた。ステージが進むにつれて段々と声が出てきて、合唱がまとまっていくのが手に取るようにわかる。団員たちはちゃんと音が取れて、歌える人達が並んでいるからだろう。指揮者をまっすぐに見つめ、自信を持って笑顔で歌っている。それを引き出す鍛冶氏の指揮はとても優しい振りだった。(評 成澤礼夫)