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明治維新直後の米沢の興譲館洋学舎に英学教師として赴任した英国人チャールズ・ヘンリー・ダラスは、明治8年3月、3年半の任期を終えて横浜へ帰任するに際して、現在の飯豊町添川から生きた牛を引いていき、仲間に振る舞ったところ大変な美味と評判になり、その後、米沢牛の取引が始まったという故事から、今年で150周年となり、米沢市や米沢牛の関係団体は「米沢牛150周年」として各種イベントを開催しています。
株式会社米沢食肉公社(代表取締役 佐藤康寛氏)は、10月2日に「米沢牛150周年記念市場」、10月1日に前夜祭を行いました。前夜祭ではグランドホクヨウを会場に、記念講演会、続いて祝賀会が開催されました。
記念講演会では、はじめに山形県農林水産部畜産振興課課長補佐の星光雄氏が「MUFA(一価不飽和脂肪酸)による牛枝肉評価向上への取組み」と題して講演しました。県畜産研究所は長年にわたり県産牛の枝肉サンプルを収集して「おいしさ」に関する分析とその数値化に関する研究を行ってきましたが、令和4年度第12回全国和牛能力共進会において、脂肪の質評価群として「脂肪の質」を重視し、MUFAの数値がカギになることが唱えられました。ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸と言われるMUFAは、融点が−5℃〜15℃と体温でも融けるほど低く、照り・光沢があり、くちどけが良いことが特徴です。
星氏は、山形県内共進会で脂肪酸数値を測定し、市場での情報公開と証明書に数値の表示を記載するなどして、県産牛肉の評価向上を目指す取組みを行っていくとしています。
次に国立大学法人北海道国立大学機構帯広畜産大学 生命・食料科学研究部門教授の口田圭吾氏が、「霜降りの"繊細さ"が味を変えるー小ザシの画像解析による客観的評価ー」と題して、最新の評価手法に関する技術を発表しました。
口田氏は、小ザシと呼ばれる脂肪分に注目し、牛枝肉の切開面を撮影する為の装置(MIJカメラ)を開発しました。講演では、このカメラの概要と霜降りの画像解析の結果にについて述べ、おいしさの科学的評価と可視化に成功した経緯を紹介しました。口田氏からは、他の生産地ではA-5等級の他に、小ザシ指数をもとに報奨金を支給しているケースも紹介され、小ザシ指数が重視されていることが述べられました。そして、小ザシを作る為の育種についてもグラフで示しました。
祝賀会では、県議会議員、行政、米沢牛生産者、小売店、市場関係者など、約90名が出席しました。主催者挨拶に続き、来賓挨拶、米沢牛150周年とこれからの米沢牛の発展を祈念して乾杯が行われました。
10月2日朝9時から同日の記念市場に上場される枝肉75頭について、MUFAの測定と小ザシ指数の測定が行われました。また午後1時50分からは、米沢市市営食肉市場において米沢牛150周年記念市場が開催され、セレモニーに続いて上場75頭のセリが行われました。
「米沢牛150周年記念」として、米沢牛の恩人C.H.ダラスにちなみ「C.H.ダラス賞」が設けられ、審査員5人が自分がダラスになった気持ちで「仲間に振る舞うならこの牛」を各自1頭選抜しました。選定された5頭から最高単価で落札された枝肉が「米沢牛150周年記念C.H.ダラス賞」とされ、C.H.ダラス賞は、米澤佐藤畜産が生産した黒毛和種牝(A5等級)450㎏を、米澤佐藤畜産がキロ単価10,010円(税抜き)で落札し、C.H.ダラス賞を獲得しました。通常のセリ市場では平均単価は3000円を超える程度であり、C.H.ダラス賞に華を添えるご祝儀価格となりました。
「米沢牛150周年記念C.H.ダラス賞」のほかに、「MUFA特別賞」、「小ザシ指数特別賞」も選定されました。