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06月06日

直江兼続母は「蘭子」長野県で新文書発見

 平成24年1月より本紙上で、自叙伝「わが人生を顧みて」を連載中の(株)米沢食肉公社社長尾崎世一氏のルーツは、戦国時代、信州飯山(長野県飯山市)を支配した泉八衆の頭領尾崎政重に遡る。上杉家執政直江兼続(1560〜1619)の母は、上杉謙信の重臣直江景綱の妹というのが通説だったが、尾崎哲雄氏(山形市)は尾崎氏総本家尾崎翠氏(長崎県)から入手した手書き資料を基に、尾崎政重の直系尾崎重歳の娘「蘭子」であることを長年主張してきた。同氏が探し求めてきた蘭子を記す「幻の文書」を、今回、米沢日報による現地調査で発見した。

 先月27日、本紙調査で、長野県千曲市にある長野県立歴史館所蔵の「尾崎家文書」4巻に直江兼続の母が尾崎重歳の娘「蘭子」であることを示す「幻の文書」を発見した。尾崎哲雄氏の手書き資料を裏付けるものだ。置賜地方における尾崎氏、直江兼続研究に一石を投じるものと思われる。

 尾崎哲雄氏は、尾崎氏一族の歴史研究を「わが家の記録 源流」(平成16年11月発行)に結実したが、その中で同氏は、尾崎氏総本家の尾崎翠氏(長崎県在住)から「直江兼続の母が蘭子である」という手書き資料を入手した。それを根拠に、兼続の母が尾崎重歳の娘「蘭子」であることを新聞や雑誌などに発表してきた。大河ドラマ「天地人」放映中には、NHKに対して、「蘭子」の存在を強く働きかけた経緯がある。ただ、尾崎哲雄氏自身、その文書自体は直接見ていないという「幻の文書」だった。

 直江兼続の実家樋口家(現当主樋口兼利氏、飯豊町添川)の家系図にも、直江兼続の母の出自を直江家としており、「幻の文書」はこれまでの定説を覆すものになる。

 米沢日報では、(株)米沢食肉公社代表取締役社長尾崎世一氏の自叙伝「わが人生を顧みて」連載を契機に、「尾崎家文書」の調査、二十年来飯山市との交流を続ける高岡亮一氏(南陽市宮内在住)と足立正則飯山市長との対談、飯山市の歴史探訪を企画した。

 4月、成澤礼夫米沢日報社長は飯山市役所庶務課から同市中央公民館長服部秀人氏の紹介を受け、「尾崎家文書」の所蔵先を問合せし、同県千曲市にある「長野県立歴史館」と回答を得た。早速、同館文献史料課の青木隆幸課長に文書の存在を確認し、同館所蔵の「尾崎家文書」リストを入手した。

 5月27日、成澤本紙社長、高岡亮一氏は、長野県立歴史館を訪問。「尾崎家文書」は破損が激しく一部を除き、写真とマイクロフィルムで閲覧提供されているが、幸い尾崎系図を含む「尾崎家文書4巻」は、紙焼きされ、A4横サイズの本の体裁となっていた。そこには、

「女子 蘭子樋口惣衞門兼豊室
天文廿三年十一月婚嫁為興守傅士
小市源左エ門歳長附副遣ス
兼豊後号伊予守越列直峯城主矣
兼豊室慶長九年甲辰十二月十九日
逝葬徳昌寺 法名蘭室妙香大姉」

と筆文字で書かれてあった。 尾崎哲雄氏の持つ手書き資料とは数文字分の漢字に相違があったが、蘭子が樋口兼豊の室と明確に書かれてある。

 5月31日、成澤本紙社長、高岡亮一氏は、早速、山形市に尾崎哲雄氏を訪問し、発見した「幻の文書」について報告を行った。
 尾崎哲雄氏は、「『蘭子』のことが書かれた文書が発見されて本当に良かった。蘭子が亡くなった日付、葬儀の寺徳昌寺、戒名も書かれてあり、蘭子は樋口兼豊の妻(直江兼続の母)であることは明らかです」と喜びを隠せない様子だった。

 「尾崎家文書4巻」の中にある尾崎氏の系図から、尾崎世一氏と尾崎哲雄氏の先祖は、共に尾崎昌乗の子、尾崎範久(重国)の子で、兄弟であることも判明した。