平成23年8月22日、山形県より認証を得たNPO法人フードバンク山形(星野義勝理事長)は20日、置賜総合文化センターで、設立記念講演会を開催し、30人が参加した。同会は賞味期限内で、まだ十分安全に食べられる食品にも関わらず、印字ミスや余剰在庫、規格外品など、一般市場で販売できない食品を企業や個人から無償で寄付してもらい、社会福祉施設や生活困窮者支援団体等に無料で提供する活動する団体。米国が発祥の地となる。今回の東日本大震災でも被災者にいち早くフードバンクによる食品提供されている。
記念講演会に先立ち、星野理事長が「食べ物は生きていく上でかけがえのないもの。フードバンク活動を通して、もったいない食品からありがとうの食品へと変え、社会貢献につなげていきたい」と挨拶。活動を支援するNPO法人自然農食やまがたよもぎの会理事長の増田勇一氏がこれまでの設立経過を説明、株式会社安達太良興産取締役会長の高橋傅三郎氏が祝辞を述べた。
記念講演では、セカンドハーベスト・ジャパン事務局長の大竹正寛氏が「フードバンク活動の歴史とその現状」と題して基調講演。1967年、世界では初めて米国アリゾナ州でフードバンクが始まり、日本では2000年にNPO法人を取得した経緯を述べ、「現在、フードバンク全国ネットには11団体が加盟、セカンドハーベストが取組む活動」と実績を述べた。
大竹氏は日本での食品廃棄は、年に1900万トンあり、そのうちにまだ食べられるものは500〜900万トン(農水省データ)あるとし、その内の一万分の一しか使用してない現状を解説。さらに「日本の貧困率(平均所得の中央値の半分に満たない人)は、1985年12%だったものの、2009年には16%(112万円以下)まで跳ね上がり、いま約2000万人が大変な生活を送っている。これは先進国では米国に次ぐ数字」と述べた。
フードバンクは廃棄コストの削減や社会貢献、従業員のモチベーション向上など、提供側にメリットがあるほか、受け取り側にも食費の削減、より多くのお金を事業に注入可能、社会との繋がりを実感できるなど、双方にメリットがある活動として注目が集まっている。これらの費用対効果は「10倍の効果がある」と強調した。
引き続き、NPO法人ワンファミリー仙台(仙台市)理事長の立岡学氏が「フードバンクが東日本大震災で行った活動の実態」として実践報告。立岡氏は震災直後の3月15日から6月8日までの間、延べ404カ所、2300種類、3万4227ケースの食料を被災者に届けた実績がある。セカンドハーベスト・ジャパンより食料の提供を受け、どこよりも早く、えび天丼、漬まぐろ丼、焼き肉など、被災者のニーズに応えた食料を提供したことを報告、ネットワークの重要性を訴えた。
現在のところ、宮城県では、2万2000世帯がプレハブ住宅に住み、その住民には支援物資が行き渡っているものの、民間の賃貸に住む25000世帯にはほとんど届いていないという課題を指摘した。
さらに新潟県佐渡に住む、就農家・元NGO活動家の津田政明氏は、米国のフードバンク活動を通して、自身がボランティア活動家となり、米国からフランス、そして1994年には内戦にあったアフリカのルワンダの難民キャンプでボランティア活動に従事した。
ルワンダから日本にもどり、東京都新宿中央公園で炊き出しを行った。そのなかで、ホームレスを農業で救おうと考え、佐渡に移住。現在は完全無農薬でのお米づくりを行っている。完全無農薬は美味しく、アトピーの人が食べると効果が全く違うという。そして「食べ物は誰でも不自由なく作れる日本を作って行こう。山形から日本に発信していこう」と呼びかけた。