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賦初何連歌
世吉 みちのく連歌会
〈初折表〉
なつかしき人寄り集ふ春日和 讓
心はひとつみちのく遍路 昭
行き行きて見知らぬ駅は陽炎ひて 加津
風はこび来る遠き日のこと ひろ子
初紅葉通ひなれたる学び舎に 善照
子ら駆け回る爽やかな声 つとむ
芭蕉にも見せばや今日の出羽の月 昭
見渡すかぎり山彩られ 讓
〈初折裏〉
青き海目の下に置き雁渡る ひろ子
物語よみひそと過ごせり 加津
罪深き誰も知らない恋のあり つとむ
いつか心もうつろへる夜 善照
業平も小町もやがて老いぬべし 讓
夢また夢を歌に託して 昭
万緑の中に漕ぎ入る舟は来ず 加津
火照りの街を洗ふ夕立 ひろ子
夏まつり月に轟く笛太鼓 善照
旅行く人も裾をからげて つとむ
山峡の紙漉の里水温む 昭
たどる野道は霞にまぎれ 讓
日陰りて君見失ふ花万朶 ひろ子
さまようてゐる思ひ出のなか 加津
〈名残折表〉
三密を避けて家居の人となり つとむ
ファックス連歌を楽しみにして 善照
顔合はせ酒汲み交す時来たれ 讓
雪のじょんがら撥叩くごと 昭
世の憂ひ吹き払はるる春近し 加津
下駄裏返し明日を占ふ ひろ子
軒近く蛍飛び交ふ影見えて 善照
しばし止まる烏鷺の争ひ つとむ
苦と楽と縄綯ふ如き浮世かな 昭
末は等しく浄土の台 讓
小さき子の傘歩くかに秋の雨 ひろ子
七夕の宵逢瀬もありや 加津
有明の月を眺めて別れゆく つとむ
色付く山の道幽かなり 善照
〈名残折裏〉
日を重ねいつかほころぶ旅衣 讓
石を枕に川辺に宿る 昭
墨すりて古き歌など書きつらね 加津
茶筌にからむうすみどりいろ ひろ子
鶯の音に誘はれて庭先へ 善照
水琴窟のひびき長閑に つとむ
行く道はどこもかしこも花ざかり 加津
和の広がりてまほろばの里 ひろ子
発句 令和二年五月 八日
満尾 令和二年七月十三日
〈句挙〉
高野 讓 七 竹田ひろ子 八
佐々木昭 七 天竺 善照 七
降旗加津 八 金子つとむ 七
(2020年7月17日15:30配信)