![]() |
創立10周年みちのく連歌の会
(平成30年11月9日の歌会 於 川西町鴨川)
初折表
秋の色一雨ごとに深まりぬ 譲
稲穂の香りただよへる里 つとむ
狛犬の巻毛に月の影入れて 昭
野山にひそと龍田姫来る 泰子
踏切を横切り飛びし鬼やんま 加津
ころり観音微笑みてをり ひろ子
二歩三歩杖を進むる旅姿 善照
佐渡ヶ島にはヤマト草咲く 加津
初折裏
波音の涼しく響く宿にゐて つとむ
ひとり静かに杯を持ち 譲
父の顔青磁の壷に浮かびたる ひろ子
喜びもあり悲しみもあり 昭
生え初むる歯の愛らしく山笑ふ 泰子
雛を飾れるもてなしの村 つとむ
邂逅も別れのときも花匂ふ 加津
君の俤霞の中に 譲
遠き日の乗換駅の片想ひ 昭
なすこともなく空を見上げし 泰子
打ち寄する波を砕くか冬の月 ひろ子
鯨の通る夜の海峡 つとむ
外が浜じょんがら節の撥捌き 昭
銅鑼(どら)を鳴らして山径下る 加津
名残折表
日の光青葉の隙にきらきらと 譲
遠野の河童永久に隠れて ひろ子
綿菓子の奥に幼なの笑顔あり 泰子
姉や一緒に紙芝居見る 譲
福は内逃げ来し鬼と酒を酌み 昭
カラオケ歌ふ春宵の宴 つとむ
流氷のジグソーパズル軋みをり ひろ子
缶を蹴りけり学校帰り 加津
道端に仔犬見つけてしゃがみ込み 譲
手みやげとする優しき心 つとむ
鷹山の名残りの訓示菊薫る ひろ子
忘れぬ式歌秋雲流れ 昭
けふの月離れ住む娘と空ひとつ 泰子
落葉散るちる風の吹くまま 加津
名残折裏
長き影残して主は旅立てり 譲
小指に結ぶ赤糸ゆるむ ひろ子
火の鳥の舞姿なり入日燃ゆ 昭
二人を包む海山の黙 つとむ
広重の目で描きあげし春の湖 泰子
甲州街道陽炎ゆれて 譲
花の下白神の森にぎはひて 加津
若草伸びる若人の丘 昭
句挙
譲8 つとむ7 加津7
ひろ子7 昭8 泰子6 善照1
(2018年11月22日14:50配信)