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竹田 歴史講座

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          わが交遊録


「ベートーベンの墓を詣でて」(下)
                          梅津 伊兵衛
   
 3年ほど前の5月、娘が私達夫婦を誘って、憧れのウィーンへ旅行することになった。成田空港からドイツのミュンヘンに降り立ち、そこから鉄道でモーツァルトの生家のあるザルツブルクに向う。ザルツブルクはミラベルの庭園など、まち中がまさにモーツァルト一色で、その生家には世界中から観光客が集まっていた。次にウィーンに向った。オーストリア・ハンガリー帝国を治めたハプスブルク家の栄華を誇るシェーンブルン宮殿は、その巨大さと贅を極めた目を見張る装飾で、その中でのオーケストラ演奏会は、最前席に座り天にも昇る心地であった。
 ウィーン市内を歩くと、到る所の建物の壁にプレートが張られており、ここはベートーベンが何々を作曲した場所であるとか、有名な作曲家が埋葬されている教会だというような表示がなされていた。ウィーン中心部から路面電車に乗って30分、中央墓地を訪れた。ここは映画「第3の男」が撮影された場所として有名だが、ほかにベートーベン、シューベルト、ブラームス、J・シュトラウスなど音楽家の墓がある。ベートーベンの散歩道を歩き、ピアノに手をふれ、墓を詣でて、60年来の夢がかない、ほぼ200年前にタイムスリップしてベートーベンにようやく会えた気がした。(うめついへえ@米鶴酒造株式会社代表取締役会長)

平成26年3月23日 米沢日報掲載
平成27年1月30日14:45配信