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竹田 歴史講座

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書評 南陽市立宮内小学校 創立一五〇周年記念誌



1 南陽市立宮内小学校の前身は、明治5年8月学制発布後、宮内村鳥居の場の佐野元貞氏宅に開校した宮内学校で、明治11年に現在地に校舎を新築され、鍾秀(しょうしゅう)学校と校名を改めた。「秀れた人たちが鍾〈あつ〉まる学校」という意味。その後、宮内高等尋常小学校、南陽市立宮内小学校と変遷した。同校創立150年は、明治5年(1872)の開校から数えてとなる。この間、2万人の子供たちが学び同校を巣立っていった。
 本書では、はじめに校長や実行委員長の挨拶に続いて、歴代校長や同校卒業生で現在、社会のいろいろな分野で活躍している人たちがその想い出を寄稿している。次に宮内小学校100年のあゆみが綴られている。宮内学校は授業料が徴収され、子供全員が入れたわけではなかった。明治8年の児童数は、252名(男171、女81名)。明治19年に小学校令が公布され、尋常小学校4年と高等小学校4年の二段階となり、尋常小学校は義務教育となる。明治31年頃、高等科は月20銭の月謝が必要だったという。
 明治時代の同校卒業生には、東京帝国大学教授の吉田熊次、早稲田大学教授稲毛金七、吉野石膏社長須藤永次、歌人の結城健三らがいる。写真で振りかえる50年の章は、昭和48年に金山小学校との統合から始まる。当時の様子が白黒写真で生き生きと描きだされている。創立150周年記念事業では、記念式典やグラウンドに築山の造成、校庭の遊具の増設、図書室の新設、記念誌の発行、校章を人文字で描き、航空写真を下敷きにして配布するなどの事業を実施した。最後に「宮内文化史」として、81人の同校同窓生の主だった人を紹介する。「宮内の歴史」を後世に伝えたいという熱い思いが伝わるこの記念誌は、非常に深い地域と学校の結びつきを感じさせる重厚な内容である。記念誌は、宮内地区、金山地区の全家庭に届けられた。

発行者 宮内小学校創立150周年記念事業協賛会(会長 遠藤東一朗)
    (宮内小学校内)
発行日 2023年5月15日

(2023年7月19日16:50配信)