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竹田 歴史講座

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書評 『歴史ある街 番正町の歩み』 清野春樹著


banshomachi 米沢市の西部地区に位置する番正町(現在の米沢市西大通二丁目と城西三丁目を挟む通り)の歴史やそこで生きてきた人たちの歩み、エピソードなどを同地の近くに住む郷土史家の清野春樹氏が丹念に調べ上げ、まとめたのが本書である。令和4年5月、番正町町内会(髙橋利和会長)が発行した。
 番正町は、江戸時代は侍町で、主に足軽などの下級家臣が住んでいた。町名の由来は、同町の西に侍組鮎川家の屋敷があり、鮎川配下の鮎川辻番(辻々を守衛する役目)の頭を番正と称したことによるという説と、番正町と関東町の間に大きな番所があったことの二説があるという。
 番正町で一番古い店は三澤屋菓子店で、明治維新直後の明治3年(1870)創業であり、今年で152年の歴史を積み重ねる。戦後、番正町は西部地区の中では一番のにぎやかな地区で、食、衣料、医療、散髪、酒屋など、あらゆるものが揃っていた。大正時代の二度にわたる米沢大火の火元が近くだったことから、消防の分団が番正町にあり、防災の拠点でもあった。他町内からの買い物客も多く、人々の交流の中心、立派なコミュニティーの町であり、人間関係もいたって穏やかだったという。 
 本書では三澤屋菓子店を皮切りに、そば処まるみ、金子酒店、佐藤食品など45のお店の歴史や、番正町の町歩きが楽しめるよう石碑なども紹介している。巻末には、昭和36年、昭和42年、昭和51年、昭和58年の住宅地図が掲載されており、商店や住宅の変遷を知ることができる。
 清野さんは、この冊子をまとめるにあたり、昔あったお店を訪ね、おじさんやおばさんに話を丹念に聞いて歩いた。そのような貴重な話は、それらの人が亡くなってしまえば、永久に失われてしまう貴重なものである。本書からは昭和の庶民文化が息づいていた番正町の当時が今に生き生きと蘇ってくるようだ。

著者  清野春樹
発行者 番正町町内会
発行  令和4年5月1日発行

(2022年6月27日11:20配信)